Awakening
Overload
"Awakening Overload"は、東京を拠点とするアーティストNAOWAOによるマルチメディアIPで、アニメーション、PCゲーム、アートトイ、参加型ワークショップにまたがるプロジェクトです。物語は、青い肌を持つジェンダーレスの主人公ルーンが不思議な世界を旅する姿を描いており、その道中で出会うクリーチャーや怪獣たちはそれぞれ、記憶にまつわる独自の儀式を持っています。




Rhune
ルーン
"記憶のために歩き、自分だけの儀式を見つける"
ルーンは多くを語らない。
ルーンは地図に無い場所を歩く—
青い光の森を抜け、
広い星空の下の砂漠を抜け、
水が光る洞窟を抜けて。
ある日は、ただ歩くための日。
ある日は、悲しみのための日。
ある日は、生き物のそばで
ただ静かに座るための日。
旅の途中で出会う様々な生き物が、
失ったものを抱えている。
そして静かに、沈黙と小さな発見のあいだで、
旅そのものが、ルーン自身の儀式になっていく。
( イソギンチャクの髪を持った若者 )

Sticker Kaiju
シール怪獣
"それぞれのシールに眠る記憶"
ラグーンのほとりの洞窟に、
キラキラと光るカラフルな珊瑚の祠がある。
シール怪獣の集めたシールが光っている。
そのまわりには、五つの飛び石が水の中で休んでいる。
シール怪獣は、そのひとつに歩み寄る。
口から取り出すのは、小さくきらめいたシール。
それを水の上に置き、舌をそっと浸す。
シールが光りはじめる。
シール怪獣は、それをゆっくりと、やさしく食べる。
水が光る。
石が光る。
体の模様が1つ増える。
どこかで、ひとつの記憶が、守られた。
( ヒトデの形をしたカラフル好きな幼児怪獣)

Praying Axolotls
祈るウーパールーパー
"呼吸のたびに、古い記憶が浮かび上がる"
高い木の根もとで、
葉がやわらかな青に光るところで、
祈るウーパールーパーは座っている。
もう、長いあいだ座っている。
たくさんの手が合わさっている。
目を閉じて。
吸って。
吐いて。
木も、彼らとともに呼吸している。
その身体は、すでに宇宙そのもの。
時おり、落ち着かない、風に疲れた誰かが通りかかる。
祈るウーパールーパーは何も言わない。
ただ呼吸を続けるだけ。
そして静かに、旅人の呼吸も、それに合わさっていく。
( たくさんの手足が再生したウーパールーパー)

Tadpiller
おたまむし
"一歩ごとに、新しい記憶"
何かが起きた、その直後—
小さな気持ち、小さな出会い、
まだ形のわからない、その瞬間から—
おたまむしが生まれる。
ぷく。ぷく。
地面から、やわらかな泡がひとつ浮かび上がる。
中には新しい記憶。
まだ温かく、まだ形を探している。
強く握りすぎると、その形は崩れてしまう。
でも、そのまま息をさせてあげれば、
いつか想像もしなかった場所へ、
連れて行ってくれる。
( おたまじゃくしとイモムシが合体した赤ちゃん )

Froggie
フロギー
"母のような記憶"
水と陸のあいだで、フロギーは見守っている。
ある記憶は軽く、すぐに取り出せる場所にしまわれる—
明るく、いつでも再生できるように。
ある記憶は、もっと深い場所にしまわれる、
見つかりにくい、奥の奥に。
そこで、巻き戻され、聴き直されるのを待っている。
誰かが、その深い記憶を抱えて通りかかるとき、
フロギーはそっと、そばに座る。
何も言わない。ただ、そばで一緒に再生する。
やがて、その人の中で何かが静かに立ち上がるまで—
前には気づかなかった音が、今、聴こえてくるまで。
そして、また静かに、
フロギーは水の中へ帰っていく。
( 90年代のCDプレイターの様な見た目をした
アナログxデジタルの間を生きる両生類)

Tardigrade Boss
クマムシ親分
"何世紀も眠り、すべてを覚えている"
苔が石を覆い、水がそのあいだをゆっくり流れる場所—
そこにクマムシ親分はいる。
苔のもの。石のもの。水のもの。
すべての記録を、保っている。
明るいものも、かすんだものも、同じように集めて。
今はどんなに小さなことでも、
何年か先には、いちばん輝いて見えるかもしれない。
賑やかだったものは、やがて静かになっていく。
静かだったものは、やがて尊くなっていく。
だから、記録を残しておくこと。
ゆっくりでいい。小さな記しひとつで、十分。
ただ記録すればいい、それをいつか分かち合うために。
( スカジャンを着ていつも寝ているクマムシ)

Baku - バク
"夢見る者を眠りの中へ連れて行き、
待っていた記憶を見つける"
歩いても、水を渡っても、目覚めた思考の中でも、
たどり着けない場所がある。
心の準備ができたとき、バクが現れる—
宇宙を抱いた瞳をもつ生き物。
バクに乗ることは、夢の中へ運ばれること。
そこには、旅人がずっと探していた場所が待っている。
バクは導かない。
バクは、あなたの心がすでに向いている方へ、飛んでいく。
夢の中では、遠いものが近くなり、
遥か昔のことが、今になる—
そして、ずっと待っていた場所に、たどり着く。
( 夢を案内するバクの子供)

Sound Tribe
音の精霊
"心を風に変えて奏で、風がそれを歌って届ける"
彼らは風とともに旅をする。
夕暮れ、空が青と紫に染まるころ、
ビートが始まり、風が歌いはじめる。
彼らは輪になって座る。
それぞれが、それぞれの楽器で、それぞれのやり方で奏でる。
笛が呼びかけると、風が螺旋を描いて立ち上がる。
太鼓が鳴ると、砂が目を覚まして踊りだす。
火が加わると、空気が脈打ちはじめる——
まるでオーロラが空いっぱいに開いていくように。
風は、何百年も彼らの歌を運んできた。
そしてこれからも、何百年も運んでいく。
心が覚えていることを奏でながら、
風は、輪を描いて流れていく。
( 音を鳴らして会話をするトライブ達)